HCD-Net主催 UXD連続セミナーに参加しました


株式会社インフォバーン井登 友一さんを講師として開催された、HCD-Net主催 UXD連続セミナーに参加しました。過去2年間は名古屋で開催され、2020年は東京での開催を予定しておりましたが、コロナ渦における状況により最終的にはオンラインで開催されました。

当初は今年は東京開催ということで、私は名古屋在だったので参加できないままになってしまったなあと一度は思ったのですが、オンライン開催に変更されたことにより結果的に参加することができました。個人的にはオンライン開催に変更されて、とてもよかったです!

セミナーは6回におよび開催されました。

  • 第1回セミナー:2020年7月25日(土) 「価値探索のためのデザイン・リサーチ概論」
  • 第2回セミナー:2020年8月2日(日) 「デプスインタビューを用いた価値探索〜価値抽出」
  • 第3回セミナー:2020年8月9日(日) 「価値の構造化とペルソナデザイン」
  • 第4回セミナー:2020年8月16日(日) 「ユーザー体験の俯瞰的な可視化によるアイデア発想手法」
  • 第5回セミナー:2020年8月30日(日) 「キーモーメントの策定→具体化とアイデアの拡張発想」
  • 第6回セミナー:2020年9月13日(日)「プロトタイピングによるエバリュエーション手法」

イベントの詳細な様子は、以下のHCD-Netのサイトにレポートが掲載されているのでご覧ください。

セミナーの進め方

セミナーは、Zoomでの井登さんの講義の後に、チームごとにZoomのブレイクアウトルームに招待され、チームメンバーとのワークショップはMiro上で行われます。井登さんの講義を元にみんなで議論を進め、可視化していくといった流れです。

セミナーの中では議論が終わらないため、週に2回ほどオンラインでチームメンバーと集まって、次のセミナーまでに課題を終わらせていました。

最終日はプレゼンを行うため、当日の朝からチームメンバーで集まり、プレゼン資料とプロトタイプを用意して、午後にプロセスとプロトタイプの発表を行いました。


Miroのアートボード上でアイデア発想が行われている様子

Miroのアートボードの様子


参加して得られたこと

私は普段はWebシステムのデザイナーとして働いていますが、UXデザインを体系的に学び実務に本格的に活かした経験は今までありませんでした。そんな知識の状態での参加でしたが、体系的にUXデザインの手法について学ぶことができ、大変有意義な1ヶ月半でした。

私が1ヶ月半で得られたことはたくさんあったのですが、大きな体験を3つにまとめで紹介します。

  • ユーザーインタビューからプロトタイプ作成までの一連の流れを体験できる
  • チームメンバーから得られる多角的な視点
  • みんなで共通認識を作っていく体験が得られる

ユーザーインタビューからプロトタイプ作成までの一連の流れを体験できる

第1回セミナー〜第6回セミナーの内容を見ていただくと分かる通り、セミナー内ではユーザーインタビューからプロトタイプ作成までの一連の流れを体験しました。

私は今まで「ペルソナ」「ユーザーインタビュー」「KAシート」「カスタマージャーニマップ」などの言葉を知っている程度で、UX名古屋という運営メンバーの加藤さんが個人的に開催されている勉強会に時間を取れるときに参加していました。UX名古屋ではそれぞれの手法を実戦形式で毎月紹介されており大変勉強になる勉強会です。
ですが、実際にどのようにそれらの手法が連なって効果を生み出すのかあまり想像できない状態のままでした。

UXD連続セミナーに参加してからは、一連の流れを把握することができ、書籍やブログ記事で紹介されている内容がよく分かるようになりました。実際に、セミナー参加後に仕事で提案し、実践することができたのですが、書籍などで追加で調べつつではありますが、一人でも行えるようになっていました。

全ての日程で学ぶことが連結しているため、1日でも欠けたらあとの工程に響く可能性が高いです。今後参加を検討している方は、全ての日程を出席されることをおすすめします。

チームメンバーから得られる多角的な視点

私は普段は一人でデザイン業務を行なっています。実務では誰かの意見を取り込むというより、自分で課題を発見することが多かったため、チームによるアイデア発想をする機会が業務ではあまりありませんでした。そのため、チームメンバーから得られる多角的な視点のありがたさをセミナーを通して初めて知ることができました。

今回、チームでアイデア発想を行なってみて、私が思いもしなかった視点からの意見が多く出て、私一人では全く思いもしなかったアイデアが出てくるシーンがたくさんありました。例えばペルソナの捉え方やサービスのアイデアなどもありますが、そう言ったアウトプットだけではなく、複数意見があったときの意志決定の方法や、意見のまとめ方なども私にはないものがたくさん出てきました。

意見が出てこない時は、何気ないチームの雑談から気付きがあることもあり、チームでアイデア発想することは効率がとてもいいとも感じました。

普段の業務では一人でアイデア発想をすることが多く、今回はセミナーを通してチームでアイデア発想することができて貴重な体験をすることができました。講師の井登さんだけではなく、チームメンバーの方からも大変学ぶことが多く、感謝でいっぱいです。

同じインタビュー内容を得たとしても、思考の工程でも参加メンバー意思決定や発想が重要になってくるので、最終的なアウトプットはだいぶ変わってくるのではないかと感じました。そう思うと、とても興味深いですね。

みんなで共通認識を作っていく体験が得られる

私は今までチームでアイデア発想をする経験がなければ、明確に共通認識を作っていく過程を意識したことがありませんでした。そんな私にとっては、回を通すごとに議論した内容が集約され、言語化され、視覚化され共通認識が出来上がっていく体験はとても貴重でした。

先ほど、「今回のセミナーでとてもよかったのは多角的な視点を得られたこと」と紹介しましたが、裏を返せばたくさんのアイデアが得られましたが、たくさんのアイデアが捨てられていきました。最終的には1つのアイデアになるため、このセミナーで最も苦労した点はみんなのアイデアを集約することでした。

具体的な手法としては、KAシートにしたり、価値マップにしたり、ペルソナを作ったり、カスタマージャーニマップを作ることがセミナー内で講義として紹介していただけますが、そういった可視化された制作物になるまでの意見のまとめる過程はチームメンバーによるため、どの意思決定の仕方が最適か手探りで進めていきました。
ときにはアイデアがうまくまとまらず、もう一度アイデアを出しなおしてみたり何度も舵を転換することがありました。

大変な作業で、時間もないためチームメンバーの方とも常に議論をしているような状態でしたが、とても貴重な体験でした。

デプスインタビューでリサーチした内容が、議論した内容が言語化されていく。視覚化されていく。集約されていく。次第にその過程を通してチーム内で共通認識ができていく。

デプスインタビューでリサーチした内容だけではどんなサービスのアイデアが生まれるか全く予想もできませんでしたが、エッセンスを抽出していく過程を視覚化して残すことの大切さを実体験を通してよく知ることができました。

まとめ

私が1ヶ月半で得られたこと大きな体験は以下の3つです。

  • ユーザーインタビューからプロトタイプ作成までの一連の流れを体験できる
  • チームメンバーから得られる多角的な視点
  • みんなで共通認識を作っていく体験が得られる

ユーザーインタビューからプロトタイプ作成までの一連の流れを体験できたことはとてもよかったです。常に実務に活かすことを意識して参加していたため、セミナー開催中の土日や平日の夜は常にセミナーのわからなかったところを書籍や動画(当日の井登さんのセミナーの様子を動画に書き出してURLを運営の方が共有してくれました)をみて復習していました。そのおかげか、実務で応用できるかとても不安だったのですが、思っていたよりもスムースに実現することができました。

私が一人でも実現まで至ることはできたのは、チームメンバーの方々は振り返ることを大切にされている方が多く、よく話し合って進めてくれたことも影響していると思います。今振り返っても、とてもありがたいことに、チームメンバーの方々にも恵まれていたと思います。

UXデザイン以前に、チームワークを行うことで効率的なアイデア発想をすることのメリットを学ぶことができたり、チームで共通認識を作っていく過程を体験できたのも私にとってとても大きな学びとなりました。UXデザイン以外でも会社で意見を取りまとめることが増えたのですが、複数人の議論をまとめることが参加前よりも得意になりました。

是非とも参加をおすすめしたいセミナーです

この記事をここまで読んでくださって、もしこのセミナーに来年参加を検討されている方がいらっしゃったら私はぜひおすすめしたいです。開催から3ヶ月ほど経とうとしていますが、多くの方におすすめしたくてこのレポートを書きました。

少し時間とお値段がするセミナーですが、UXデザインの一連の流れを体験したいけど機会がない方にとてもおすすめです。

また、実際にこのセミナーの工程をそのまま実践しようとすると企業によってはコスト面などの問題も出てくるかもしれませんが、そのまま実践ができなくても無駄にはならないと思います。その点はアレンジして会社の体制に合うように応用すればいいと思っていますし、私はこのセミナーに参加したことによって、UXに関する書籍やセミナーの内容をよく理解できるようになりました。講師の井登さんはもちろんですが、運営メンバーの方々もプロのUXデザイナーやUXリサーチャーの方ばかりです。手厚いサポートをしてくださるので質問をしたら回答が返ってきたりアドバイスをしてくれるとてもいい環境です。

改めまして、今回のセミナーでお世話になった方々、大変ありがとうございました。実務で実践することができ、セミナーで学んだ内容を活かすことができました。

この記事がこれから参加を検討されている方の参考になれば幸いです!


この記事をシェアする

著者

デザイナー

森田かすみ

名古屋のスタートアップで働く、デジタルプロダクトデザイナー。

2013年に新卒でWeb制作会社に入社し、受託制作のマークアップエンジニアとして勤務した後、CMS開発部門のデザイナーへ転身。

2023年5月にSaaSのプロダクトデザイナーへ転身。
現在は新機能にまつわるUXを考慮したUI設計、機能マーケティング支援などを担当。
ストレス発散方法はかっぱのイラストを描くこと。

おすすめ記事

この記事のハッシュタグ から関連する記事を表示しています。

他の方法で記事を探す

2024年4月

年間カレンダーへ
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30