「デザインリサーチの教科書」解説ウェビナーに参加しました
この記事は2月9日に開催された「デザインリサーチの教科書」解説ウェビナーに参加したレポートです。講師は「 デザインリサーチの教科書」の著者の木浦 幹雄さんです。
デザインリサーチの教科書とは
2020年11月17日に発売されたデザインリサーチに関する書籍で、Amazonでは、下記のように紹介されています。
デザインリサーチなしには、もう何も作れない──。
日本で初めて、デザインリサーチの実践者がその全貌と詳細を書き下ろした一冊。
不確実性の高まる社会において、正しい問いを立て、正しいプロダクトを作り続けるためには、人々の気持ちになってプロダクトを作るのではなく、人々をプロダクト開発プロセスに巻き込み、人々の生活を理解し、人々と共にプロダクトを作る必要があります。そのための方法が「デザインリサーチ」です。
世界中の経営者が殺到するコペンハーゲンのデザインスクール、Copenhagen Institute of Interaction Design(CIID)で実践されている手法をベースに、日本でのプロジェクトをふまえて、より実践しやすく、かつ効果が得られるようにカスタマイズしたプロセスと考え方を、わかりやすく解説します。本書によって、近くスタンダードになるであろう、産業界におけるデザインリサーチの体系化された知見をインストールできます。
デザインリサーチの教科書 | 木浦幹雄 |本 | 通販 | Amazon より
また、著者の木浦さんはデンマークにあるデザインスクールCIIDを卒業した後、国内外の大手企業やスタートアップなどのデザインプロジェクトを経て、現在はアンカーデザイン株式会社を設立して活躍されている方です。
ウェビナーの内容
ウェビナーは主に下記の項目について取り上げられていました。
- デザインとは
- デザインリサーチとは
- 「いかして適切な問いを立てるか?」が大事
- なぜデザインリサーチが大事なのか?
- デザインリサーチを推進
- デザインリサーチのプロセス
- 人々を理解する
- アプローチを検討する
- プロトタイピング
- Repeat!(=現代のプロダクト開発に終わりはないことを述べられていました)
- マインドセット
ウェビナーでは主に書籍で取り上げられていた概念の解説にフォーカスされており、書籍の大半のページ数を締める第3章で紹介されている具体的な手法については書籍で復習されるのがよいのではないかと思います。
また、書籍内の随所でデザインする上で大切にするべきことが紹介されていますが、ウェビナーではまとめて「マインドセット」として「Life-Centered design」「Product as Systems」「Design with People」「People 2 People」などの考え方を紹介されていました。
以下、私の個人的なメモ程度で恐縮ですが、「マインドセット」の内容が気になると思うので少しだけ掲載しておきます。ウェビナー内で「マインドセット」として紹介されていたものです。
Life-Centered Design
人間中心設計とは市民権を得た概念になってきたけれど、一人の人ではなく、プロダクトによって影響を受ける社会における様々な要素を念頭に置くことが重要。
「自分たちがよければいい」という考え方からは脱却する→周辺のものたちの影響を考えることが大事。
Product as Systems
プロダクトを単体のものではなく、システムとして捉える。 それはどのようにして顧客の手に渡り、顧客がその価値を最大限に引き出す仕組みがあるだろうか。 また、プロダクトによっては一方通行の価値提供ではなく、顧客と一緒にプロダクトの価値を生み出す必要もある。
Design with People
1人のスーパーデザイナーに全てを任せるのではなく、様々な人々をプロジェクトに巻き込み、みんなで一緒にプロダクトをデザインする必要がある。 そう言った場面では、ファシリテーターとしての働きを求められるようになることがある。
People 2 People
B2BやB2Cなどがあるが、どのようなビジネスも必ず人々によって支えられ、提供されている。 裏側にも多くの方が携わっている。
参加した感想
まずはじめに、私のデザインリサーチの教科書に対する理解度についてお断りをしておくと、全てを読んでから参加したのではなく、自分の目的にあった箇所をかいつまんで書籍を読んでいた状態での参加でした。ですが、それでも丁寧にお話を進められているので内容についていくことができ、十分に理解することができました。
書籍のほうも現代に合わせて記述されていますが、現在のプロダクト作りにおける環境の変化などの今の時代に合わせて解説されていて、例として挙げられている題材や問題がわかりやすかったです。そのため、書籍でなんとなく理解したつもりでいた内容も、より身近に感じられウェビナーで聞くことにより現場での問題や題材が想像しやすく聴くことができました。
今回は解説ウェビナーということですが、書籍内で散りばめられている大事なところを主にピックアップされてギュッとまとめた(そして時には深く)印象もあり、中でも『「いかして適切な問いを立てるか?」が大事(書籍内でp247)』の項目は、自身の課題として感じていた部分でもあり、個人的には熱い内容でした。
また、書籍の内容をより深く知るために参加されるのもとても良いかと思いますが、書籍の概念の部分にフォーカスして解説されているので、社内へリサーチについて説明する際の参考にもなりそうだなと感じました。
最後に
今回は参加した解説ウェビナーについて主にレポートしましたが、書籍の方ではデザインリサーチの周辺の境界線が曖昧に感じやすい概念や定義についても明文化されており、日々Webプロダクトのデザインに関わっている身としては、日頃感じているモヤモヤがスッキリする書籍です。デザインリサーチの教科書はAmazonでも購入可能です。
また、「デザインリサーチの教科書」に関するウェビナーは今のところ今後の予定されていなさそうですが、ANKR DESIGNさん主催のウェビナー自体に内容に気になった方はPeatixでフォローしておくと良いのではないかと思います。
講師の木浦さん、運営のみなさま、貴重な機会をありがとうございました!
あと、ウェビナー前の待機動画はワクワクして、とてもよかったです!(果たして運営の皆様にこの声が届くかわからないですが、アンケートに書いていなかった気がするのでここでお伝えしておきます...!)