電子書籍版「デザイニングWebアクセシビリティ」を読みました
先日、2016年12月22日(木)に発売された電子書籍版のデザイニングWebアクセシビリティを株式会社ボーンデジタル岡本さんよりいただきました。岡本さん、ありがとうございます!そして、関係者のみなさま、待望の電子書籍の出版おめでとうございます。
もともと電子書籍版デザイニング Webアクセシビリティは発売決定をセミナーで知り、「EPUB版だったらソースコードが見れるよ!」と代表から聞いたことから、ひそかに発売を楽しみにしていました(ちなみに、電子書籍入手後、きちんとマークアップされたソースコードを確認できました)。
「デザイニングWebアクセシビリティ」という名前だけど、コーダーも楽しめる本
実はすでに弊社にはこちらの書籍自体は2冊あります。ですが、タイトルに「デザイニング」とついていることから、気になるところだけかいつまんで読んだことはあったのですが、恥ずかしながらきちんと読んだのはこれが初めてでした。
実際に読んできたところ、書籍の中にはマークアップに関わるお話もありますし、アクセシビリティに対するそもそもの考え方から教えてくれています。Webアクセシビリティをする際の実装テクニックではなく、「そもそもなぜ対応するのか?どう考えて対応するのか?」といった考え方の部分にとくに私は興味を持っているので、とても楽しく読めました。
「マークアップってどういうことなの?」「Webアクセシビリティって何をしたらいいの?」という方におすすめします。マークアップ・Webアクセシビリティへの学習の仕方を尋ねられらることが多くなってきたのですが、一言で考え方を伝えるのは難しいので、これからはこちらの書籍を紹介したいと思います。
出版から1年経って読むときに気をつけたいところ
出版されたのが2015年7月ですが、書籍で紹介されている JIS X 8341-3 の2016年版である JIS X 8341-3:2016 が2016年3月に公表されています。これから読む方は書籍内で紹介されている JIS X 8341-3:2010 の部分は JIS X 8341-3:2016 を代わりに参照していただくと良さそうです。
前述しましたが、実装のテクニックというよりはそもそもの考え方の部分を教えてくれる本なので、書籍自体は2015年に発売されたものですが、1年経った今でもとても楽しくかつ面白く読むことができます。
各電子書籍版の違い
デザイニングWebアクセシビリティでは、以下のファイル形式が用意されています。.azkと.mobiの拡張子のものについては、ボーンデジタルさんでご購入いただいた場合に付録としてついくるものになります。
岡本さんに聞くと、それぞれの形式に合わせて工夫がされているとのことだったので、PDF版とEPUB版を重点的に比べてみました。.mobi形式のファイルも、KindleのiPhoneアプリに入れてみました。
各形式を比較してみた結果
スクリーンリーダーでも読んでみましたが、きちんとマークアップされているおかげで、見出しレベルも読み上げてくれます。スクリーンリーダー読みでは一番EPUBが個人的には聞き取りやすかったです。
そして、EPUB版であれば書籍内で紹介された語句や事例サイトにはリンクがついているので、とても便利にページを移動できます。Web系の書籍ではURLが引用されていることが多いのに、わざわざPCを開いてURLを叩かなくてはいけないことに面倒を感じていたので、「ストレスレスになって、電子書籍ってとてもいいな!」という印象です。索引もPDF版とは違って表示方法が工夫されていて、EPUB版ではアクセスしやすいようにリンクが追加されています。
EPUB版は機能が豊富でベタ誉めしていますが、PDF版は視覚的に読みたいときにおすすめです。EPUB版はスタイルがPDF版ほど種類が豊富ではないこともありますが、フォントやレイアウトを書籍から引き継いでいるPDF版のほうが視覚的に読むときには読みやすい印象を受けました。
まとめると、豊富な機能を利用したい(スクリーンリーダーで読みたい・紹介されているURLに手軽にアクセスしたい、メモを取りたい)場合はEPUB版、視覚的に読みたい(フォントやレイアウトはキレイな状態で・1ページの情報量をいっぱいにして読みたい)場合はPDF版を選ばれることが個人的にはおすすめです。
いろいろと見比べてみましたが、スクリーンリーダーから読んでみても理解しやすい書籍でした。きっと、(書籍になっているものなので当たり前かもしれませんが)わかりやすい言葉選びをされていることと、きちんとマークアップされているおかげだと思います。書籍の感想からは外れてしまいますが、今回読み比べてみてやっぱりマークアップって大事だなあと実感しました。