普段からユーザーの声をよく聴きとるコツ
私は普段デザイナーとしてWebプロダクトの開発に携わっていますが、ユーザーインタビューなどのユーザーの声をもらうことを前提とした場だけではなく、カスタマーサポートや勉強会などでユーザーと交流する場からフィードバックをもらう機会が普段から多くあります。
そんな中、以前までは不意にいただくユーザーの声をうまく解釈できないことが多々ありました。
最近は、UXリサーチなどを勉強している過程で副次的にスキルを得たおかげで、ユーザーから得たフィードバックをよく聴きとることでデザイナーとして製品に反映することができるようになってきました。
そのおかげで、普段からユーザーの声をよく聴きとることができ、製品改善へ役立つヒントを得られる機会が多くなったように感じています。
この記事では、ユーザーインタビューなどを自身ではされていない方も普段から意識できるユーザーの声をよく聴きとるちょっとしたコツについてご紹介します。
最も重要なことは「最後まで聴くこと」
自身はきちんと聞いているつもりでも、意識をしていないと最後まで聴き取れていないことがあります。
感情的になってしまったり、論理的に事情を説明して発言を遮るのではなく、真意がわかるまで聴くことが大切です。瞬時にネガティブな意見のように捉えてしまうことも、話を掘って聴くと意外とそうではないことがあります。
2021年現在、8年半ほどWebプロダクトの開発に携わっていますが、悪意のある意見を直接言ってくる人はそうそういませんでした。
もしいたとしても、その場ではいったん聞いておいて、反映すべき意見かどうかは後で組織内で判断することも十分可能です。もし意見を取り入れることで製品が改善するのであれば、その意見によって今後同じような思いをする方の減少にも繋がる可能性があります。
悪意がなかったとしても時には図星をつかれるような鋭い意見もありますが、よい意見として前向きに捉えた方が結果的に製品のためになります。苦労して生み出した製品のネガティブな要素を聴くのは辛いかもしれませんが、発言をシャットアウトしてしまうと真意を聞き出すことができません。そこはグッと我慢して強い心を持って最後まで聴くのです。
脳内でKA法を使う
実際にKAカードを使ってもいいかもしれないですが、カスタマーサポートであればあっても1問くらいなので私は脳内でKA法に置き換えています。
KA法は、紀文食品の浅田和実氏が食品の新商品開発のために開発した、定性情報分析法です。ユーザー調査の際にユーザーから得られた「出来事」から、ユーザーの「心の声」を抽出し最終的には心の声に基づいた「価値」を導き出すものです。
KAカードは、T字に割り、使用されます。
例えば、以下は「あっちのサービスには〇〇っていう機能がありましたよ」と言う意見に対するKAカードの書き方です。
一見不満を抱いて発言していると捉えることができそうな発言も、期待する価値や未充足の価値を導き出すことを目標にすると、自然と本来言いたいことが導き出せます。
ここまで発言を分析できれば、「それなら△△という機能で代替できますよ」と別の提案を場合によってはできるかもしれません。
次に繋げる努力をする
あくまで私の今までの体感なのですが、直接お伝えしてくださる方は「製品にとっていいフィードバックになるのでは」「他の方も困っているのでは」と善意からの行動である場合が多い印象です。
不具合などがあれば、そのまま製品を使わず何もフィードバックをしない方も世の中には多いのではないかと思います。なので、フィードバックをいただいた際には謝りつつも、「この度は詳細にご報告いただきありがとうございました。いただいたご意見は前向きに検討し、製品に反映したいと思います。」と感謝の言葉をお伝えするようにしています。
そうすると意見を言うことが製品の品質の向上に繋がると認識していただくことができ、次にも繋がります。 ここで、フィードバックしにくいと思われてしまうと、本来もらえるはずだった率直なご意見が次回からは得られなくなってしまう可能性があります。
製品をよりよくしていくにはユーザーの意見がヒントになることもあるので、いつ活用できるかはわからなくても、フィードバックを集める環境は整えておきたいところです。
まとめ
- カスタマーサポートや勉強会(オフ会など)で不意に出てくるフィードバックにも身構えず、最後まで聴く姿勢を持つこと
- 発言から解釈をし、本来ユーザーが得たい価値を導き出すこと
- 今後もフィードバックをもらえるように、感謝を伝えること
カスタマーサポートを始めたときには、不意に出てくるフィードバックに慌てることもありますが、「もしかしたら製品に役立つ意見かもしれない」と思って最後まで聴く姿勢を持ってみると意外とデザイナーとして改善できるポイントを発見できることがあります。
普段からこのような姿勢を持っておくことで、製品改善のより多くのヒントが得られるときがあるので、ぜひ試してみてください。